誠実な生活

実家の隣に葬儀屋がある

日記(3/10)

前々日, 『みなみけ』という漫画を全巻まとめ買いして机の上に積み上げたのですが, そのためにタブレットPCを開くスペースがなく, 日記を更新できませんでした. 折に触れて感じるのは, 机の上にものが散乱していることは, それ自身が極めて生活水準を下げうる, ということでしょう. 

 

そして, 三日が経った今もなお, 『みなみけ』を読破できていません. まったく, 恥ずかしい限りです. 今日の日記は『みなみけ』について書いてもよかったのですが, それはまた別の機会にしましょう(このように言うとき, たいてい別の機会はないのですが, それはそれで構いません). 

 

その代わりに, 別の漫画の話をすることにします. それは, 『旅する海とアトリエ』という漫画です. まんがタイムきらら MAX にて連載され, 単行本は全2巻とこじんまりとした作品です. 

 

この作品は, いわゆる「旅もの」の漫画であり, 舞台はイベリア半島からイタリア, ウスタライヒ, クロアチアの地中海の北側に向かう地域です. 主人公はふたりですが, ともに自分のルーツを探すため, また自己を見つめ直すために旅に出ています. また, 2019年の12月に単行本1巻が刊行されており, すなわちそれは, この作品の連載期間がコロナ禍の大きな影響を受けたことを意味します.

 

そんな「旅もの」としては極めて厳しい状況の中で, 少し古い表現にはなりますが, 「旅は道連れ世は情け」を地でゆく作品というのが, 最も簡潔な説明になると思います(と言いつつ, なかなかうまい表現を見つけたなと思って読み返していたら, 作中で「旅は道連れ世は情け」の言葉がそのまま登場していました). 

 

旅先で出会う現地の人間と, まさに道連れになることで親交を深め, そして来るべき別れを惜しむ……人間関係の在り方としては極めて平凡なものかもしれませんが, 長らくそうした生活が失われていた身としてこの作品を読むと, 本当に心に染み入るものです. 

 

以前, 日記で同じくきらら作品であるところの『スローループ』について書いたとき, これはきららの王道に乗った作品だと評しました. 

 

対して『旅する海とアトリエ』は, あまりきらららしくないなと感じました. それは, きららが一貫して描いてきた, 「日常」とは距離を置いたところにあるからかもしれません. 

 

旅は, いつか終わります. その意味で, 「日常」とはむしろ対極にあると言ってもよいかもしれません. 

 

とはいえ, きらら作品としてのツボはある程度押さえているようにも思います. 年頃の女子が作品の中心にいること, コメディとしての側面を持つこと, キャラクターがデフォルメ化されること……等々, 挙げればきりがありません. 

 

あまり作品を人に薦めることがないのですが, この『旅する海とアトリエ』は, ぜひ読んで欲しい作品です.