日記(3/3)
京都の街は, 特に賀茂川より北側は暮らしやすく, 落ち着いており, 同時に刺激の少ないところです. 少なくとも, 学生としての時間を過ごすには, やや単調に過ぎることは確かでしょう.
今日は, 今週末に購入する本の選定のため, 近所の書店に行きました. 今週は普段読んでいる漫画の続刊がほとんどなく, 新しい作品を開拓すべく, 漫画の棚と小説の棚を交互に行き来しつつ, 気が付けば一時間以上の時間が経っていました.
愛読していた漫画が完結するというのは, やはり寂しいものです. 今日も, 半年ほど前から購読している作品が完結すると知り, 既刊をじっくりと読み直していました.
今回完結する漫画は, 高校生の男女のラブコメものという, きわめてありふれたジャンルの作品でした. この手の作品は競合が多いためか, 平均してコミックスで3巻ほどで完結することが多い気がします. この作品は現在3巻までコミックスが刊行しているので, おそらく4巻を以て完結, ということになるでしょう.
高校生の男女のラブコメものについては, 私はこれまでの多くの苦い別れを経験してきました.
ラブコメものが完結するとき, それは何らかの形で登場人物を巡る恋愛にひとつの区切りがつくことを意味します. 三角関係ものであれば, 成就する恋愛と悲しくも敗れる恋愛があるでしょう.
その中でも, 最も多い完結の形は, それまで恋愛関係になかったふたりの登場人物が結ばれる, ハッピーエンドのものです. それまでくっつきそうでなかなかくっつかない, もどかしくも愛らしい恋愛模様を目の当たりにしてきた読者の目線としては, このハッピーエンドは喜ばしいものです. それは疑いようがありません.
しかし, 私はそうしたハッピーエンドの中に, 極めて悲劇的なものを見出さないわけにはいきませんでした.
それは, 『最近の高校生のラブコメ漫画, おせっせendが多すぎる』問題です.
ラブコメ漫画という場合, 基本的には全年齢の作品を指すことが多いと思います. そのため, こうした作品の中で, 直接的に性行為が描かれることはほとんどありません(もちろん, 例外もあります).
しかし, こと最近のラブコメ漫画に対して問題提起せざるを得ないのは, 直接的であれ, もしくは本質的な部分を隠した形であれ, 高校生という立場にありながらおせっせendで締める作品を, 私は受け入れるのに強い抵抗がある, ということです.
私は, 「えっちなのはいけません」などと言うつもりはありません. 問題は, 高校生でありながら, そうした行為に及ぶことを作品の完結に持ってくるという点です.
『おせっせ』というあまりに生々しい行為を, 恋愛成就の象徴として描くことに, 私は不誠実さを感じてしまいました. 高校生の, もっと言えば思春期の恋愛は, もっと肉体的な行為からは離れた場所にいるのではなかったのでしょうか……
私の考え方は, 前時代的なものなのでしょうか? 今の高校生は, 昨今のラブコメ漫画で描かれるような生々しく, 肉体的な接触を伴う恋愛のあり方を, すっかり受け入れてしまっているのでしょうか?
既に高校卒業から三年が経ってしまった私には, もう今の高校生の恋愛の実態を知るすべはありません.
そして今回, 完結を知ったラブコメ漫画についてですが, 私はまたおせっせendを見るかもしれないと思うと恐ろしく, 覚悟を決めてその最終回を読みました.
結果を言うと, 今回は主人公とヒロインが両想いとなり, その後ヒロインが主人公の頬に軽くキスをして, そのまま物語は終わりました.
あまりのあっけなさに, しかし本来はかくあるべし高校生の純朴な恋愛のあり方に……私は思わず膝から崩れ落ち, ぼろぼろと大粒の涙をこぼしていたのです.