誠実な生活

実家の隣に葬儀屋がある

日記(3/2)

Twitterエゴサ―チをすると, 時たま私がpixivに投稿したssの感想をツイートしてくれている方がいて, そのたびに私は, 別に感想が欲しくてssを書いているわけではないけれど, とてもしあわせな気持になれるのです. 

 

私が初めて小説というものを書いたのは, 中学二年のときでした. 当時, クラスのおたくくんたちの間では, ライトノベルが流行っていました. もちろん, まだなろう系という概念もなく, ラノベと言えば電撃文庫の一強, 続いてファミ通文庫小学館ガガガ文庫, MF文庫Jなどが有名どころでした. 

 

私が初めて読んだライトノベルは, 『バカとテストと召喚獣』でした. 昔からギャグ漫画が好きだった私にとって, この作品は, 漫画だけがギャグを表現できるわけではないということを思い知るに至った, とても重要な作品です. まさに, 抱腹絶倒のギャグ小説と呼ぶべきものでした. 

 

その後, 私はライトノベルにのめり込みました. 私が好んで読んでいたジャンルは, 学園ラブコメものが多かったような気がします. その中でも, 私の中で転機となったのが, 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』という作品です. あの本を中学に持って行って, 休み時間になると机の中から取り出して, 貪るように読みふけっていたのですが, 今にして思えば, ずいぶんと挑戦的な作品を選んだものです. 

 

このとき, 私は自分でもこんな作品を書いてみたいと思いました. それが, 全ての始まりだったのです. 

 

当時の私は自分用のPCを持っておらず, 家族で共用のノートPCを使うほかありませんでした. 親に見られないよう, ダミーのフォルダを大量に作って, 『数学教材』とか『社会科資料』とか, 勉強用に見せかけた名前を付けて, その中にwordファイルを作りました. 

 

最初は, 小説とはどうやって書き始めればよいのか, 皆目見当もつきませんでした. それでも, いくつかのライトノベルを読んで, それを真似る形で書き始めた処女作は, およそ一年ののちにひとまずの完成を見ました. このとき, 私は進級して中学三年生になっていました. 

 

文庫本一冊ぶんほどの私の処女作……その内容は, 先に書いた『俺の妹~』を強烈に意識した, 兄妹のラブコメものでした. 今ではUSBメモリに移したそれを見返してみると, よくもまあこれだけご都合主義で妄想全開の, 声に出すのも恥ずかしい話を書けたものだなと苦笑いするほかないのですが, それでも, 人生で初めて, 自分が物語の紡ぎ手となったことへの高揚が, ひしひしと伝わってくるのです. 

 

しかし, 私は完成したそれをどうするのかについて, 全く考えていませんでした. 当時はライトノベル大賞の存在こそ知っていましたが, まさか中学生でも応募できるとは思っておらず, インターネットに小説を公開する場があることも知りませんでした. 

 

結局, 私はそれをまずは閉鎖的な場で発表することにしました. 

 

当時, 私は信用のできる, すなわち私の稚拙で妄想丸出しの話を読んでも茶化さずに批評してくれる, 何人かの友人にそれを見せました. 

 

結果を言えば, 私の小説を読んだ友人は, 面白いという感想をくれました. もしつまらないとでも言われたら, 私はその時点で小説を書くことをやめていたかもしれません. それだけに, このときの友人には, 感謝してもしきれません. 

 

それから, およそ七年の月日が過ぎました. その間に, 私は地方の小さな文学賞に出した作品が入賞して賞金を得たり, 小説投稿サイトに作品を投稿してみたり, 二次創作に手を出してみたり……今日まで小説を書くことを続けてきました. 

 

最近では, Twitter上で一年間にわたり小説のような何かを連載するなどしましたが, そうした中でひとつの疑問と向き合わなければならないなと思い始めました. 

 

すなわち, 私は何のために小説を, もっと広く言えば文章を書き起こして, そしてどうなりたいのでしょうか?

 

これまで私は, 自分の中でくすぶる欲望や妄想を文章に起こして, 体裁を整えて物語として組み立てて, それを狭いコミュニティの中で発表して……それで, ちょっとでも褒めてもらえれば, それで心満たされていました. 

 

でも, それだけではない気がして, 私はずっと考えを巡らせていました. 

 

私は, 私の存在をこの世に残してから死にたいのかもしれないし, もしくは私の人生に何かしらの価値を見出したいのかもしれません. 

 

家族には, かつて文学賞で入賞して賞状を持ち帰ったときに, 将来は作家になりたいのかと尋ねられました. 作家という職業, そうでなくとも文章を書いて生計を立てる生活には, 少なからぬ憧れがあります. しかし, 一生涯に渡って, 生活に足るだけの創造的な文章を生み出せるかと問われると, 私には自信がありません. 

 

その上で, 私は現実的な進路を常にそばに用意してきました. その途中で文章で生計を立てる道が見つかれば, そちらに進むかもしれません. そうでなければ, 文章を書くことは, 私のささやかな趣味として終わるかもしれません. 

 

とりあえず, 春休み残り一ヶ月の間に, ひとつ答えを出せるような作品を作り上げることができればよいのですが……