誠実な生活

実家の隣に葬儀屋がある

日記(2/23)

昨日はゼミのため終日外出していたこともあり, 宵に大学を後にし, 行きつけの唐揚げ専門店で鶏ももと鶏むねを100gずつ買って帰った私は, あまりの疲労に唐揚げにほとんど口を付けることなく, そのまま泥のように眠りこけてしまったのです. 

 

翌朝, すっかり冷え切った唐揚げを温めて頬張りつつ, 昨日のゼミの内容をレポートにまとめて, 教科書を読み進めました. 

 

田崎統計力学の第一巻を読み終わってすぐ, ちょうどよいタイミングで注文していた第二巻が届いたので, これを早速読み始めました. 

 

春休みももうすぐ折り返しですが, 日々の暮らしは部屋に籠って教科書を読み解き, そして時たま気分転換に散歩に出たり, また少し遠出して映画を観に行くといった, きわめてゆったりとした時間の中にありました. 

 

こうした生活は気が楽ですが, しかし時たま私の生活とは対照的に, 目まぐるしく移り変わってゆく社会の姿を見るにつけて, 私はまるで乗り物酔いのような気分の悪さを覚えるようになりました. 

 

この世界のスピードはあまりに早く, 私は自身が社会に取り残されているような感覚に襲われることが増えました. 

 

特に, 理学部という場所は大学の中でも, 社会から離れたところにあります. 

 

私たちはあの空間で, 誰にも急かされることのないゆるやかな専門化を, また, あえて棘のある言い方をすれば, 停滞を許されています. 

 

友人にひとり, 学部卒で就職するやつがいます. 彼は大学在学中にいくつかの資格を取得し, 大学四回生に上がると同時に企業に入社するそうです. 私はこの周辺の仕組みに疎く, 大学在学中に企業で働くことができるということを, 彼によって知りました. 

 

てっきり私たち大多数の学生と同じように, 大学院に進学するものとばかり思っていた彼の進路を知ったとき, 私は自らがこの場所で許されていた心地の良い停滞に, 冷や水を浴びせられた気分になりました. 

 

まったく, おそろしい話です.